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「アイユ」という月間誌にチョーク製造会社 日本理化学工業株式会社の話が載っていた。知的障害者を積極的に雇用している会社でいつも感銘を受ける。
先日鳩山首相も所信表明でこの会社に触れられていた。 「 先日、訪問させていただいたあるチョーク工場のお話を申し上げます。 創業者である社長は、昭和三十四年の秋に、近所の養護学校の先生から頼まれて二人の卒業生を仮採用しました。毎日昼食のベルが鳴っても仕事をやめない二人に、女性工員たちは「彼女たちは私たちの娘みたいなもの。私たちが面倒みるから就職させてやってください」と懇願したそうです。そして、次の年も、また次の年も、養護学校からの採用が続きました。 ある年、とある会でお寺のご住職が、その社長の隣に座られました。 社長はご住職に質問しました。 「文字も数も読めない子どもたちです。施設にいた方がきっと幸せなのに、なぜ満員電車に揺られながら毎日遅れもせずに来て、一生懸命働くのでしょう?」 ご住職はこうおっしゃったそうです。 「ものやお金があれば幸せだと思いますか。」続いて、 「人間の究極の幸せは四つです。愛されること、ほめられること、役に立つこと、必要とされること。働くことによって愛以外の三つの幸せが得られるのです。」 「その愛も一生懸命働くことによって得られるものだと思う」、これは社長の実体験を踏まえた感想です。 このチョーク工場は、従業員のうち七割が「障がい」という「試練」を与えられた、いわば「チャレンジド」の方々によって構成されていますが、粉の飛びにくい、いわゆるダストレスチョークでは、全国的に有名なリーディングカンパニーになっているそうです。障がいを持った方たちも、あるいは高齢者も、難病の患者さんも、人間は、人に評価され、感謝され、必要とされてこそ幸せを感じるということを、この逸話は物語っているのではないでしょうか。」 その日本理化学工業株式会社に50年勤め、今年10月に退職した林緋紗子さん(65歳)にこれまでを振り返って感想を尋ねた。 「うれしいの一言です」 目に涙をうっすら浮かべながらそう答えた。 同社の川崎工場には、36人の知的障害者が働く。全社員47名のうち8割を占める。まさにチョーク製造の主力なのでる。 「働く幸せー仕事でいちばん大切なこと」(大山泰弘同社会長著)に最初に知的障害者を雇った経緯が綴られている。 ある日、工場にほど近い養護学校の教師が「卒業する2人の生徒の就職をお願いしたい」と工場にやてきた。 当時専務だった大山さんは初め断った。2度目やってきたが断った。ところが、その教師はもう一度やってきてこう言った。 「この子たちは、卒業後施設に入ったら働くということを一生知らずに人生を終えてしまいます。就職が無理なら、せめて働く体験だけでもさせてくれませんか」 それならと2週間程度の実習を受け入れたのだという。 実習が終わるころ、当時の社員たちが「私たちが面倒みるから」と申し出て、大山さんも「他の社員に迷惑かけなければ、まあいいか」という程度で高邁な志があったわけではなく採用したのだという。 ところが彼女らが懸命に働く姿に社員だけではなく大山さんも揺り動かされていく。 「大変な思いをして一日中働くよりも、施設で過ごしたほうが幸せなのではないか」そんな思いが心にひっかかっていた。 そこで鳩山首相も紹介された住職の話がすとんと心に落ちたのである。 「人間の幸せは、物やお金ではありません。人間の究極の幸せは、人に愛されること、人にほめられること、人の役に立つこと、人から必要とされること、の4つです。働きたいと願うのは本当の幸せを願う人間の証なんです」と。 「そうか、彼女たちは働くことで幸せを感じているのか。ならば彼女たちの『働く幸せを』守ってあげたい」そういう思いが沸き上がってきた。 こうしてチョーク造りの工程を全て見直し、「彼らにできることは何か、を考え、試行錯誤を重ねた」結果知的障害者を主力とする体制で半世紀もの間、企業経営を続けてきた。 5年前に入社した総務部の佐藤さんは5年間をこう振り替える。 「いろんなことをみつめなおした5年間でした。 伝え方を考えることは自分自身の勉強にもなります。また、健常者、障害者を問わず成長しない人はいません。できないと思ったらそこまでです。一人ひとりの力を伸ばすことを常に考えています。一緒に働く仲間として、彼らから教わることはたくさんあります」 大山会長にかわって対応した大山隆久社長はこういう。 「こういう会社って必要だよなあってテレビで自分の会社を紹介されてそう思いました。小規模の会社ですが、やっていることが周りにいい影響を与えられると気づき、今まで以上に感じています。」 │<< 前へ │次へ >> │一覧 │ 一番上に戻る │ |