今日は一寸遊びである。勿論、このWeblog自体が遊びなのだから、遊び中の遊び、と言うことになる。主役はナミアゲハの幼虫、余りにありふれているので、少しは遊ばないと面白くない。
庭の一番奥に本柚子の小さな木が植えてある。柑橘類は他にもあるのだが、アゲハはこの木を選ぶ。葉が何時見ても青々としているからであろう。しかし、此処は一方でコガタスズメやアシナガバチ類の巡回路に当たるので、終齢かそれに近くなるまで成長すると幼虫は何処かに居なくなってしまう。
ところが、今年は何故かスズメバチ科のハチが少なく、終齢になってもまだチャンと居る。そこで、一寸写真を撮ってやることにした。

ナミアゲハの終齢幼虫.蛹化が近い(2008/06/08)
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御存知、ナミアゲハの幼虫。もう蛹化が近いらしく、2日間同じ場所で動かなかった。
アゲハ類の幼虫は、余り虫好きではない人にまで結構人気がある。その理由は、胸部にある黒い紋が眼の様に見えるからであろう。真っ正面から撮ると、下の写真の如し。
両端に眼があり、少し伸びた鼻面の下に口がある様に見える。

正面から見た幼虫(2008/06/08)
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しかし、本当の頭部は一番下の毛の生えた部分だけで、眼の様に見えるのは、後胸(第3胸節)にある斑紋に過ぎない。
下の写真は、幼虫君に少しチョッカイを出して怒らせたところ。臭角を伸ばしているが、怒ると体を反り返らせるので、頭部を正面から撮るには都合がよい。この中心部にある径にして1/3弱の部分が頭部である。

チョッカイを出して怒らせたところ.臭角を伸ばしている
中央部の径にして約1/3の部分が頭(2008/06/09)
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これは、横から見るとよく分かる。3本の胸脚があり、これらはそれぞれ前胸、中胸、後胸に付いているのだから、臭角は前胸、眼の様な斑紋は後胸にあることが分かる。

横から見た怒っている幼虫.臭角はもう引っ込めた(2008/06/09)
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正面から見た頭部を拡大して下に示した。

頭部の拡大.直径約3mm(2008/06/08)
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直径約3mm、かなり小さい。「日本幼虫図鑑」を見ると、左右の複眼の様に見えるのが頭頂、その境目にある筋が中縫線、頭頂の下にある三角形の内、透明なプラスティックの様に見えるのが頭楯、その上の小さなプラスティックのカヴァーが掛かっている様な三角形が前頭、それと頭頂の内側の黒い筋(ナミアゲハの特徴)との間にある少し黄色い部分が副前頭と呼ばれる部分でこれは老熟した幼虫以外では見られない、と書いてある。なお、頭楯の下にある灰青色の部分は上唇、その下にある両側から出ている毛深い構造は前胸脚である。
眼は何処にあるのかと言うと、左右の端に見える小さな黒い粒々が眼、単眼である。鱗翅目の幼虫に複眼はない。単眼は左右に6個づつある。これは横から見るとよく分かる。

横から見た頭部.4番目の写真の部分拡大(2008/06/09)
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黒い点ばかりではないが、6個の眼と思われる構造が見える。眼の左下にある突起が幼虫の触覚である。成虫とは異なり、下側を向いている。専ら餌の方を向いており、外敵を検出する機能は余り無いのではないかと思われる。
ところで、後胸にある一見眼の様な紋を拡大すると、下の写真の様になる。赤、黒、緑の3色の間に白色の筋が入っており、この白い筋の部分は少し窪んで濡れている様に見える。只の模様以外に何かあるのだろうか。

後胸にある眼の様な紋の拡大.4番目の写真の部分拡大(2008/06/09)
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しかし、この眼の様な紋の大きさは約1.4mm×1.0mm、現在の接写システムではこれ以上の詳細は分からない。「日本幼虫図鑑」や「原色日本蝶類生態図鑑」を繙いても、何の記述もない。多分、何もないのだろう。だが、何となく気に掛かる。
遊びのつもりが形態学のややこしい話になってしまった。しかし、写真は遊び心で撮ったので、写真だけ御覧になれば遊びであることがお分かり頂けるであろう。
最終更新日
2008年06月17日 17時27分42秒